ここでは初めてメルセデス・ベンツ(特に中古車)を購入する場合を想定して、実際の購入にあたって参考にして頂きたいことを簡単にご紹介します。最近は「ベンツ購入計画!!」なんてタイトルの雑誌も多く出版されていますから、これらの雑誌も同時に目を通しておくことをオススメします。安い買い物ではありませんからじっくりと選んで楽しいメルセデス・ライフを満喫しましょう!!(^^)
 MBは輸入車ですから、輸入のされ方によって次の3つに分けられます。それぞれに特徴がありますから車選びの際にはまず一番重要なことだと思われます。

1.ディーラー車(D車)
2.新車並行輸入車(新並)
3.中古並行輸入車(中並)

「1」のD車はもちろん正規輸入代理店(ディーラー)によって正規輸入された車両です。車両はあらかじめ日本向け仕様で生産され、輸入後もディーラーによって手が加えられます。日本の交通事情に適応した仕様となっており、修理や部品の入手もディーラーを通して出来るので中古車相場も一番高い傾向にあります。
 特に90年代になってからのMBは電子制御化された部分が多く、普通の工場では対応できないケースも多いようですから、信頼できる工場に当てが無い場合には、なるべくD車を購入した方がいいでしょう。

「2」の新並は新車の状態で並行輸入された車両です。円高になり始めた80年代以降のモデルに多く、基本的には欧州仕様や北米仕様のままですが、業者によってオーバーヒート対策や触媒の追加(80年代の欧州仕様には触媒の無い車が多い)、外観の日本仕様への改造などが行われているケースも多く見られます。
 車両の状態にもよりますが、ディーラーでの修理などが難しいために新車、中古車相場ともにD車より安くなります。しかし最高出力が日本仕様よりも高い、速度警告装置がない、リミッターがない、日本仕様にはないモデルが手に入る、何と言っても本国仕様だ、などなど並行車ならではのメリットもあります。
 新車の場合は特に価格面のメリットが大きく、為替レートにもよりますが国内定価が1000万円を超える車両の場合は、数百万円の価格差になることもあるようです。

「3」の中並はビンテージ・カー(旧車)や、非常に人気の高いモデルの安売り車両に多く見られます。ビンテージ・カーの場合は湿度の高い日本で維持されてきた車両よりも乾燥したカリフォルニアなどで乗られていた車両の方が程度がよい場合も多く、また海外にはレストア専門業者も多いのでこれらの車を安くレストア出来、中並のメリットも大きいと言えます。したがって錆の発生している古いD車に比べればプライスが高くなる場合も多いようです。
 しかしその反面、人気の高い高年式モデルを安く売るために輸入された車両は程度の悪いものが多く、素性も全くわからないので相場的には一番安くなります。

 このほか左ハンドルにするか、右ハンドルにするかという問題もあります。MBは会社創設当初から世界中を市場としていたので当然と言えば当然ですが、SLやSクラスなど一部のモデルを除いてMBはかなり初期のモデルから右ハンドル車が存在します。 現行モデルではSクラスもSLも右ハンドル車を製造していますが、ディーラー車の場合は排気量によっては左、または右しか用意されていないモデルもあるので調べておく必要があります。

<おまけの話>
 右ハンドルが設定されていないモデルで、どうしても右ハンドル車が欲しいという場合には並行輸入という手もあります。オーストラリアは日本と同じ左側通行ですが、法律上左ハンドル車は公道を走ってはいけない事になっているので当然MBも全て右ハンドルです。またハンドルの改造を専門に行う工場が多数あるので、左ハンドル車が輸入されても全て右ハンドルに改造されます。ですからオーストラリアから車を輸入している業者を探せば望み通りの右ハンドル車を手に入れられることになります。自動車情報誌にはたまにオーストラリアから車両を輸入している業者の広告が載っていますので、気になる人は探してみて下さい。

 昔は「外車といえば左ハン」という考えの人も多かったようですが、現在ではやはり右ハンドル車の人気が高いようです。確かに高速や駐車場の料金所はほとんどが右ハンドル車向けに作られていますし、路肩に停車した時にも右ハンドルの方が乗降りしやすいですから、実用重視でいけば右ハンドルという事になるでしょう。しかし、実は右ハンドルがいいことだらけかというとそうでもありません。MBは開発段階では当然左ハンドルで設計されているわけですが、これを右ハンドルに作り替えるとなるとどうしても細部に無理が出てきてしまいます。エンジンやミッションなど車の部品全てを鏡に写したように作り替えれば無理のない右ハンドル車が完成しますが、実際にはコックピット周りだけを作り替えるのでつじつまの合わない部分が出てきてしまうのです。
 具体的にはハンドル、ペダル類、シートなどの位置関係にそれが表れ、運転姿勢が左ハンドル車に比べて多少不自然になる場合があります。現行モデルではほとんど気にならないレベルですが、W124ぐらいまでの右ハンドル車はペダル類が全体に左側にオフセットされるため、左足の足元がかなり狭くなっていました。またそれ以前の123や114などは取り回しの関係からか右ハンドル車のみ巨大なサイドブレーキ解除レバーが装着されていて、お世辞にもスマートとは言えません。これらの違いは慣れの問題でもあるのであまり気にする必要はありませんが、覚えておいて損はないでしょう。

 それでは以上を踏まえて、次のページで実際の購入時のポイントを考えてみたいと思います。なお内容は主に中古車の購入を前提としていますので、御了承下さい(^^)

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