Maybach(2002〜)
発売時参考価格:未定(3,000万円前後)

Maybach.jpg

Chassis
Data
全長
(mm)
全幅
(mm)
全高
(mm)
ホイール
ベース
(mm)
トレッド
(mm)
サスペンション
形式
重量
(kg)
5770 1950 1550 3540 不明 不明 不明

Engine Maybach
SOHC.V12
6.0L

 1998年に発表されたマイバッハは、ダイムラー社における偉大な功労者であり「世界最高の自動車設計家」と評されたWilhelm Maybach(1846〜1929)の名前を冠した次世紀のフラッグシップカーです。発表当初こそ「量産化を前提としたコンセプトカー」という位置づけでしたが、1998年7月28日の理事会において正式に量産化が決定しました。生産開始は2002年からとされており、現段階では試作車の域を脱していません。量産車ではボディ外寸こそ変わらないものの、デザインは試作車とは全く異なるものになる予定です。

 このマイバッハのランクとしては、1981年に生産を終了した600(W100)の後継モデルにあたります。600の生産終了後は、W126、W140といった歴代のSクラスがMBのフラッグシップカーとして存在していましたが、次代のSクラスであるW220はパーソナルユースを重視してサイズダウンされる事が決定し、MBはSクラスより上にランクされる車両を再び開発する事になりました。コンセプトは600同様「特別な顧客のための特別なモデル」であり、完全な受注生産になります。また価格帯は現行Sクラスのトップモデル(S600L)の約2倍を目標としています。

 マイバッハの車体スペックはあまり明らかになっていませんが、そのサイズと装備にしてはかなり軽量になるようです。何故ならボディやエンジンといった重量のかさむものを中心に、マイバッハはファイバーコンポジットやアルミニウム、マグネシウムといった軽量素材を多用して、車体重量を削減する工夫がされているからです。MBは車体重量を軽くすることで燃費を節約できるほか、ブレーキの制動力を高め、衝突時の衝撃を軽減するなど安全上のメリットも多いと考えており、高出力が予想されるV12-6Lエンジンの搭載が決定しているマイバッハにとっては、非常に重要な要素であると言えるでしょう。またこのエンジンは、今やMBの主流となった3バルブエンジンの発展型であり、スロットル開度が限られている時にはバルブを閉じて点火するシリンダー数を制限し、燃費を向上させる「オートマティック・シリンダー・カットアウト」を備えています。

 MBのフラッグシップモデルは常に最新のテクノロジーを投入されてきました。かつて600が油圧制御による最も進んだ装備を備えていたのに対し、マイバッハは最も進んだ電子制御システムを備えており、その顕著な例がデータ・ネットワークでサスペンションを制御するABC(アクティブ・ボディ・コントロール)です。マイバッハのサスペンションには、車体の姿勢を制御するために従来装備されていたスタビライザーの類いがなく、姿勢の制御は全てコンピューターにインストールされたソフトによって行われるのです。サスペンション・コイルには瞬時に作動する油圧シリンダーが接続されており、各種センサー類(サスペンション・ストローク・センサー(4輪)、加速度センサー(3方向)、ヨー速度センサー)によって車体の動きを緻密にモニターした上で、コンピューターが油圧シリンダーを能動的に動作させて車体のロールやピッチングを抑制します。このシステムを採用することで、従来型のスタビライザーなど機械的な制御方法がかかえていたジレンマ(即ち乗り心地と走行安定性の両立の難しさ)を解決することが出来、いかなる状況でも安定した、快適なドライブを可能にするのです。

 ABC以外の電子制御システムとしては、外観的にもインパクトのあるガラス・ルーフやヘッドライトも最新の技術と言えるでしょう。まずガラス・ルーフは車内に差し込む光の強さに応じて、電気的に色彩を変化させることができるようになっています。ヘッドライトは車両の速度や交通状況に応じて、照射方法が自動的に選択されるようになっており、市街地では広範囲かつ前車を的確に照らし出すように照射。高速道路ではスポットライトを点灯して、より遠くを照らし出すように設定されます。そのほか20インチの液晶カラーモニターや、ITGSのデータ通信専用回線を含む計3系統の電話、W220で採用されたICカードによる「キーレス・ゴー」システムなどが標準装備される予定です。