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防弾ベンツ

防弾仕様の車に初めて乗ったのは商社勤務時代ですから、もう随分昔の話
になります。
南アに出張に行った際、政府の要人のお供で役所からあるホテルに移動
したときでした。
車に乗り込むときには、SPがドアの開け閉めをしてくれたので気づき
ませんでしたが、ドアウインドウから外の景色を眺めると、何か微妙に
歪んで見えるんです。
視線を前に移すとフロントガラス左右のカーブしている部分はさらに歪
みが酷く、全く度の合っていない眼鏡をかけたような感じで、ちょっと
気持ち悪くなるくらいでした。

目をぱちぱちさせていた私に気づいたドライバーが
「この車はバレットプルーフ(防弾)なんです」と一言。
「へぇ〜、そりゃ凄いや。私たち命狙われてるんだ(笑)」なんて言って
みたら、たまたま公用車がこれしか空いてなかっただけということだった
ので、窓を開けてもらってガラスの断面を見せてもらいました。
すると1cmくらいのガラスが5枚くらい張り合わせてあって厚さは
たっぷり5cmはあります。
なるほどこれじゃあ景色も歪んで見えるはずです。
ホテルに着いて自分でドアを開けようとしたら、まるで銀行の金庫の扉
を開けるような(開けたことないけど)ずっしりと重い感覚。
中に相当分厚い鉄板が入っているようでした。

ベース車両は、W126 560SELだったと思います。
おそらく車重は2.5tを軽く超えていたのでしょう、走りが鈍重なんです。
防弾はいいけれど本当に襲われたら逃げられないじゃん、それに裏路地
に逃げ込むような事態も想定すると本当はもう少し小さい車のほうが安全
じゃないか、と考えていたのを今でも覚えています。

あれからうん十年、独ダイムラーが今月、メルセデスベンツ「Eクラス」
に防弾装備や高度なセキュリティを施した「Eガード」を発表しました。

Eガードは、3.5リッターモデル「E350」と、5.5リッターモデル「E500」
3.0リッターターボディーゼル「E350CDI」の3グレードに用意されるようです。
ボディパネルには、厚さと強度を増した高張力スチールを採用し、ウインドウ
には、特殊ポリカーボネート加工を施したということですから、
多分もう外の景色が歪んで見えるというようなことはないんでしょうね。
タイヤは、パンクした状態でも最長50km/hまで走行が可能だそうです。
これで、強力な破壊力で知られる44口径の銃弾も防げるほか、手榴弾の攻撃
にも耐えられるということですから相当なもんです。

欧州で4月から発売される予定で、価格はベース車両からそれぞれ
4万5000ユーロ(日本円で500万円以上)高といいますから、車両代と合わせて
千数百万円ってことですか。

でもね、こんなお金をポーンと出せても、日々命の心配をして過ごさなきゃ
いけないくらいなら、そんなお金はなくてもこういう車が必要でない今の
暮らしのほうがずっと幸せですよね。

by OZW


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