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今日


今日3月29日は、現代詩最後の古典詩人 立原道造の70回目の祥月命日です。
東京帝国大学工学部建築学科を主席で卒業、在学中に建築の奨励賞である辰野賞を3度も受賞した立原は、同時に次々と詩集を発表。
24歳にして第1回中原中也賞を受賞するも、その同じ年の今日、もうすぐ桜が咲かんとする中、結核性肋膜炎のため夭逝しました。

一気に咲き誇り、あっという間に散る
ひとは、その儚さと潔さに惹かれるのかもしれません。

写真は今日の隅田川の桜の様子。

そして、下は立原道造の代表的詩集『萱草に寄す』の冒頭「はじめてのものに」
学生の頃私が一番好きだった詩です。





ささやかな地異は そのかたみに
 
灰を降らした この村に ひとしきり
 
灰はかなしい追憶のやうに 音立てて
 
樹木の梢に 家々の屋根に 降りしきつた

その夜 月は明かつたが 私はひとと

窓に凭れて語りあつた(その窓からは山の姿が見えた)
 
部屋の隅々に 峡谷のやうに 光と
 
よくひびく笑ひ声が溢れてゐた
 
 
――人の心を知ることは……人の心とは……
 
私は そのひとが蛾を追ふ手つきを あれは蛾を
 
把へようとするのだらうか 何かいぶかしかつた


いかな日にみねに灰の煙の立ち初めたか
 
火の山の物語と……また幾夜さかは 果して夢に
 
その夜習つたエリーザベトの物語を織つた







by OZW


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