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眠らない中国 3


唐突ですが、私はアメリカという国はあまり好きではありません。
大国意識丸出しで戦争好きな野蛮な国だと思っています。
それでも一つだけアメリカ的価値観で素晴らしいと思っていることがあります。

随分前ですが、米国大手企業の社長の息子と一緒に仕事をしたことがあります。
彼の父は何億だか何十億だかの年収だったようですが、彼自身は大学の研究員でとても堅実そうな生活をしていました。
ある日プライベートな会話の中でこんな話をしてくれました。

父親は彼の幼少時代から仕事に忙しく長期間家に居ないこともよくあったそうです。
大人になってからも人生に対する価値観の違いから折り合いはあまりよくなく、めったに顔を合わせることもないということでした。
そんな彼から
「正直言って今でもあまり好きじゃないけど、父は毎年収入の一部を社会貢献に役立ててる。だから尊敬もしてるし、僕は父親のことを誇りに思ってる。」
という言葉を聞いた時には軽いカルチャーショックをおぼえました。

そういえば、かつて村上ファンド事件で「お金儲けってそんなに悪いことですか?」という発言がありました。
もちろん悪いことではありません。
稼いだだけ税金を払い、それだけでも社会の役にも立つわけですから。
でも税金は無理やり取られものですから、いくら多く払ってもそれだけでは社会的尊敬を得られるものではないはずです。
それなのに、今でもワイドショーなどで取り上げられる成金たちが、イメルダ夫人でもあるまいに心が病んでいるんじゃないかと思われるほどの数のブランドものを並べたり、豪邸を自慢していたりして、未だそれを是とする価値観を持ったひとがいるのは驚きでさえあります。

それでも、少なくとも私のまわりでは、それを称賛するような人はほとんどいませんし、逆にもしかするとこの人たちは稼いだお金を全部自分のためだけに使ってしまってるのだろうか、もしそうならさもしい人なんだねという感想を多くの人が持つようになってきているのは日本が成熟してきているからだと思います。

この対極にあるのが今の中国ではないでしょうか。
ただひたすら貪欲な金儲け。
そこには強かな戦略はあっても社会貢献といった観点や志というものは全くありません。
でも、今の中国にそれを求めるのはまだ無理なんでしょうね。

昨日書いたお話でも分かる通り、お金に対する執着心、ハングリーさでは、私たちはもうとても中国には敵いません。
かつて日本が欧米でそうしたように今中国人富裕層たちは都内の不動産などをすごい勢いで買いあさっています。
そういう状況を見て私は、20年前エリートニューヨーカー達が冷静に話していた
「投資はありがたく受ければいい、どうせ土地は持って帰れないんだから。」
という言葉を思い出しました。

いずれにしても当面私たちは、成熟した価値観で彼らのことを達観していくべき時期にきているのではないでしょうか。



By OZW



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